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八朔の雪 5

☆遅くなりました。母が入院、手術を致しましてね、ちょっと忙しかったもので。さて、今回はことはちゃん目線となります☆














……茉子ちゃん……綺麗。




お姫様みたい。




……殿さまは王子様や。




二人……似合うてるわ。




二人…………。




うちやなくて……二人。




……茉子ちゃんと殿さま。




うちやなくて……茉子ちゃん。








……なんで?




……なんで、うちやないの?




…………なんで、うちやなくて……茉子ちゃんなん?




うちの方が………………。















「……と…は。ことは………」


「…う…ん……茉子…ちゃん?」


「ことは、起きた?もうすぐ朝稽古の時間だけど……どこか具合が悪いの?」








……え?




ことはは茉子が何を言っているのか、わからなかった。




……今…確か、茉子ちゃんと殿さまの結婚式…………ううん、偽の結婚式をして、外道衆を…………。




そこまで考えて、ことはは、自分が夢を見ていた事に気付き、慌てて布団から飛び出し、勢い良く襖を開けた。




「おはよ、ことは。寝坊なんて珍しいね。みんなには、上手く言っておくから、ちゃんと支度してからいらっしゃいね。……それから、その寝癖、直してから来た方がいいかも」




茉子は、半泣き状態で自分を見つめることはの頭を優しく撫でながら、笑顔でそう言うと、先に行ってる…と告げて、その場を去って行った。




そんな茉子の後ろ姿を、ことははただ黙って見つめることしか出来なかった。




「うち……何でこうなんやろ。茉子ちゃんに迷惑かけて。…やのに茉子ちゃん…優しいし。……そんな茉子ちゃんやから……あの時、殿さまは…自分の隣に茉子ちゃんを選んだんやろなぁ……。殿さまはやっぱり…………」




ことはは、茉子が撫でてくれた、寝癖のついた髪に手を当てると、俯き、唇を噛んだ。
















「遅くなってしまって、すみませんでした」




支度を終え、ことはが庭に現れた頃には、既に皆は稽古を始めていた。




申し訳なさそうに、小さくなって謝ることはに、皆、口々に、大丈夫、気にするな…と優しい言葉をかけてくれた。




ただ一人を除いては。




……殿さま、怒ってはる。
ううん……呆れてはるんや。








一言も発することなく、自分に視線もくれない主に対し、ことはは言葉なく頭を下げると、泣きたくなる気持ちを必死に抑え、稽古を始めたのだった。


















☆朝稽古……第四十幕の朝へと繋がるものです。前回の太夫と十臓の話(内容)は、話を進めていくうちにわかることでしょう。本編以上にことはちゃんを苛めてしまう南をお許し下さい☆








☆momoko様…太夫の語りを喜んで頂けて、とても嬉しいです。確かに、茉子ちゃんとの絡みばかりなので、ことはちゃんと殿の恋愛を絡めて登場させてみました。題名にある『雪』は太夫の名であり、太夫の大切な一つであります。この先もお楽しみいただけると嬉しいです☆










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comment

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No title

ことはちゃん、辛い時ですね(泣)

綺麗で賢くて何でもできる(と思いこんでいる)茉子ちゃんは、
殿さまと本当にお似合いで・・・・。

でも、殿さまのことはもっと好きで・・・・。

複雑な心境ですよね。

しかもこの時の殿には、そんなことはちゃんを思いやる余裕が
なくて・・・・。

がんばれ、ことはちゃん!!!
プロフィール

南 ユキ

Author:南 ユキ
シンケン妄想小説置き場です


朴路美さん見たさにシンケンを見て、殿にハマった……大人です。
そして、妄想が膨らみ、殿×ことはの小説なんぞを書かせて頂いてます。

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