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八朔の雪 17

☆ガッツリ赤×黄です。ご注意下さい☆
















「だったら何故、あんな笑顔を向けた?…それが……それがどんなに虚しく、苦しかったか、お前にわかるか?」


「殿さ……」


「あいつの…千明の隣で、あんな笑顔を見せられたら、俺は……」




顔を歪めながら、そう言葉を吐き出すと、丈瑠は、ことはの細く白い手首を掴み彼女の頭の上へと持っていくと、更に力を込めた。



ぎりり…と骨が軋む。




「い…っぅ…」



その痛さにことは、小さく悲鳴をあげ、顔をしかめた。




「痛いか?」




その言葉に、相手を労る優しさはなかった。


丈瑠の先程の辛そうに吐き出された言葉とは違い、機械的に紡ぎ出された言葉を耳にしたことはは、ごくり…と生唾を飲んだ。




「か…堪忍、して…下さい」




初めて見る、色を成さない丈瑠の瞳に、ことはは震えながら必死に口を動かした。




「……離さない」



「せ…やったら、早よ…成敗…して……」


「成敗?…するわけがないだろう」




くくっ…と丈瑠は喉を鳴らしたが、その目は決して笑ってはいなかった。




「お前はわかっていない。もしあの時、さらわれそうになったのが茉子ではなくお前であったなら、外道衆だろうと…他の誰であろうと、構わず斬っていただろう」


「それ…は、どういう意味…ですか?」









「……わからないか?」












一呼吸置いた後に、艶めいた声がことはの耳に届くと、今まで色を成していなかった丈瑠の瞳が、怪しく揺らめいた。




その揺らめきを捉えたことはの胸は、ドクン…と大きく波打ったのだった。


















☆あと2、3回で終われる予定でおります。いつも遅い更新で申し訳ありません。相方のいきなりの転職で…ちょっとまだバタバタしそうですが、頑張りたいと思います☆










☆文の母様…まさしく形勢逆転してしまったわけですが、少しでもドキドキして頂けてたら嬉しいです☆








☆柴犬様…やはり3人(千明も入れて4人かな)の想いは絡み合っちゃうのですかね。あっ、でもウチは青×桃なので、ちょっと違うかな(←大丈夫ですか?)☆








☆momoko様…ちょっと『悪』な殿様を描いてみましたが、伝わったでしょうか?嫉妬に燃え、苦しみ、我を忘れる殿様に萌えてしまう、鬼畜な南です☆











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プロフィール

南 ユキ

Author:南 ユキ
シンケン妄想小説置き場です


朴路美さん見たさにシンケンを見て、殿にハマった……大人です。
そして、妄想が膨らみ、殿×ことはの小説なんぞを書かせて頂いてます。

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