八朔の雪 15
☆皆様、台風は大丈夫でしょうか?南の住んでいる関東では、降ったり止んだりしています。
先日、カラオケに行きました。私がシンケンが好きなのを知っているママさんが、一緒に歌いたい…とオープニングを入れて下さいました。その時の映像が最終回、ドウコクを倒す所でした。歌うより見いってしまった南です☆
白く小さく、そして柔らかな指が丈瑠の首にゆっくりと食い込んでいく。
「くっ……」
じわりじわりと苦しさが増し、丈瑠の顔が歪む。
……こと…は……。
丈瑠は動けず、目の前が白く霞む中、心の中でことはの名を呼んだ。
ぎりり…と、奥歯を噛みしめ、何も出来ずにいる己を悔やみながら、意識を飛ばそうとした、その刹那、頭上で、ガシャガシャンと鳴った大きな音が丈瑠の意識を再び戻させた。
その音に反応したのは丈瑠だけではなかった。
ことはの意識が、その音に向かうと、力を込めていた手が和らぎ、今まで金縛りにあったかの如く動かすことの出来なかった丈瑠の身体が、軽くなった。
丈瑠はそれを見逃さなかった。
一瞬の後、首にかけられた手を掴むと、馬乗りとなっていたことはの身体を反転させ、丈瑠は彼女を組み敷いた。
「形勢…逆転……だな」
苦し気にそう呟き、咳き込みながらも、丈瑠は、ことはの動きを完全に抑え込み、自身を助けた音の方へ視線を向けた。
そこには、普段はほとんど表に顔を晒すことのない相手が、まるでその顔を主張するかのように、黒い面を捲り上げ立っていた。
「只今、日下部様を……」
その者は、丈瑠の視線を受け、片膝を着き、言葉を発すると、急ぎその場を去ろうとした。
だが、それを丈瑠の一言が制した。
「誰も呼ぶな!!」
「―!?…し、しかし……」
普段の彼ならば、殿様の言葉に素直に従っていただろう。
そもそも、彼が殿様の前で顔を見せることなど、ましてや声を出すことすら、有り得ないことなのだ。
「頼む……誰も呼ばないでくれ」
その声は、いつもの威厳に満ちたものとは違い、弱々しく今にも消え入りそうだった。
「……畏まりました」
意を決したように、そう返事をすると、捲り上げていた黒い面を元に戻し、一礼するとその場を後にした。
「これで、誰も邪魔をする者はいない……そして、誰も来ない。さぁ、どうする?」
丈瑠は黒子の姿が見えなくなるのを見届けると、手にシンケンマルを握り、ことはの首へと突きつけた。
「ことはを返せ」
静かながらも、怒りに満ちた声がことはの耳に届くと、ぶるり…と彼女の身体が震えた。
☆いつも、本当に更新が遅く申し訳なく思っております。しかも最初考えていたより長くなってしまって……。でも、ようやく、佳境に差し掛かり、終わりも見えてきました。最後までお楽しみ頂けるよう頑張りたいと思います☆
☆文の母様…コメントありがとうございます。今回、殿さまとことはちゃんをガッツリの予定だったのですが、殿さまと黒子ちゃんになってしまいました。次回こそは、殿×こと…でいきたいと思います☆
☆momoko様…コメントありがとうございます。殿さまとことはちゃんをガッツリと思っていたのですが、屋敷で二人の騒ぎに気付かないわけがないと思い、黒子ちゃんを登場させました。次回は殿さまとことはちゃんの二人(+太夫さん)予定です。お楽しみにお待ち頂けると嬉しいです☆
先日、カラオケに行きました。私がシンケンが好きなのを知っているママさんが、一緒に歌いたい…とオープニングを入れて下さいました。その時の映像が最終回、ドウコクを倒す所でした。歌うより見いってしまった南です☆
白く小さく、そして柔らかな指が丈瑠の首にゆっくりと食い込んでいく。
「くっ……」
じわりじわりと苦しさが増し、丈瑠の顔が歪む。
……こと…は……。
丈瑠は動けず、目の前が白く霞む中、心の中でことはの名を呼んだ。
ぎりり…と、奥歯を噛みしめ、何も出来ずにいる己を悔やみながら、意識を飛ばそうとした、その刹那、頭上で、ガシャガシャンと鳴った大きな音が丈瑠の意識を再び戻させた。
その音に反応したのは丈瑠だけではなかった。
ことはの意識が、その音に向かうと、力を込めていた手が和らぎ、今まで金縛りにあったかの如く動かすことの出来なかった丈瑠の身体が、軽くなった。
丈瑠はそれを見逃さなかった。
一瞬の後、首にかけられた手を掴むと、馬乗りとなっていたことはの身体を反転させ、丈瑠は彼女を組み敷いた。
「形勢…逆転……だな」
苦し気にそう呟き、咳き込みながらも、丈瑠は、ことはの動きを完全に抑え込み、自身を助けた音の方へ視線を向けた。
そこには、普段はほとんど表に顔を晒すことのない相手が、まるでその顔を主張するかのように、黒い面を捲り上げ立っていた。
「只今、日下部様を……」
その者は、丈瑠の視線を受け、片膝を着き、言葉を発すると、急ぎその場を去ろうとした。
だが、それを丈瑠の一言が制した。
「誰も呼ぶな!!」
「―!?…し、しかし……」
普段の彼ならば、殿様の言葉に素直に従っていただろう。
そもそも、彼が殿様の前で顔を見せることなど、ましてや声を出すことすら、有り得ないことなのだ。
「頼む……誰も呼ばないでくれ」
その声は、いつもの威厳に満ちたものとは違い、弱々しく今にも消え入りそうだった。
「……畏まりました」
意を決したように、そう返事をすると、捲り上げていた黒い面を元に戻し、一礼するとその場を後にした。
「これで、誰も邪魔をする者はいない……そして、誰も来ない。さぁ、どうする?」
丈瑠は黒子の姿が見えなくなるのを見届けると、手にシンケンマルを握り、ことはの首へと突きつけた。
「ことはを返せ」
静かながらも、怒りに満ちた声がことはの耳に届くと、ぶるり…と彼女の身体が震えた。
☆いつも、本当に更新が遅く申し訳なく思っております。しかも最初考えていたより長くなってしまって……。でも、ようやく、佳境に差し掛かり、終わりも見えてきました。最後までお楽しみ頂けるよう頑張りたいと思います☆
☆文の母様…コメントありがとうございます。今回、殿さまとことはちゃんをガッツリの予定だったのですが、殿さまと黒子ちゃんになってしまいました。次回こそは、殿×こと…でいきたいと思います☆
☆momoko様…コメントありがとうございます。殿さまとことはちゃんをガッツリと思っていたのですが、屋敷で二人の騒ぎに気付かないわけがないと思い、黒子ちゃんを登場させました。次回は殿さまとことはちゃんの二人(+太夫さん)予定です。お楽しみにお待ち頂けると嬉しいです☆
スポンサーサイト