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八朔の雪 14

☆またまた1ヶ月ぶりとなってしまいました。世間では梅雨入りし、ジメジメと嫌な時期となりました。さて、今回のお話には、赤も黄も出てきません。ほぼ薄皮太夫さんのみのご出演となります。もちろん、続きではありますので、ご心配なく☆












「哀れ、シンケンレッドは家臣に命を奪われる…か。女の嫉妬は恐ろしいものだな。……否、お前の執念か」




普段、何事にも恐れなどを抱かぬ男であったが、この時ばかりは、女の嫉妬、執念に対してブルリ…と身を震わせた。




「わちきは何もしていない。ただ、嫉妬の種を植えたまで。それを育てたのは、小娘自身。もともと持っていた嫉妬の心が種に栄養を与えたのだ」


「それにしては、シンケンイエローの口調は、お前そのもののような……」


「わちきの過去を自身のものと混乱しているのであろう」









――――死んでも結ばせるものか……たとえ……たとえ外道に堕ちようともぉぉぉ!!!









……花魁と若様……家臣と殿様。
それは、決して報われることのない想い。




身分違いの相手……。







「……で、この結末は殿様の死で終わるのか?」




先ほどまで口元に笑みを作っていた女から笑みが消えたのを見た男は、結論を問うた。




「己を取り戻すには、嫉妬の炎を消すこと。嫉妬の元を断てばよい。男を殺すか、自身を殺すか……」




わちきは、男を…新佐を殺めた。
事切れる間際ですら、わちきを選ばなかった新佐。








『薄雪……いつかお前を……』








……新さん、わちきは知っていたのでありんすよ。
お前さんのその言葉が偽りであったのだと。




それでも、わちきは……信じたかった……。




偽りの中に、一欠片でも真実(まこと)があったのならば……わちきは外道に堕ちることは、なかったやもしれんすなぁ。








……もしあの男が小娘の想いを、真実の心で受け入れるならば……嫉妬そのものが消える。




わちきの心も、あの小娘の中で浄化される。








……わちきは、それが見たいのだろうか……。








「ふっ…有り得ぬか」




……小娘の言うように、わちきにも、あの男の気持ちは、もう一人の女に向いているとしか思えんしな。




「何がだ?」




再び、薄く笑みを漏らした女に、男は、更に苛立ちを募らせた。




「どちらにせよ、シンケンレッドかシンケンイエローのどちらかが、この世から消えるであろう…と言うことだ。忠義の厚いの家臣を斬るか、侍にとっての全てである殿を斬るか。さて…どちらになることか」








楽しげに言葉を発する女を前に、男もまた、事の成り行きを密かに楽しみにしているのであった。













☆さて、殿はどのような答え(?)をことはちゃんに示すのでしょう?次回は殿とことはちゃんにがっつりご出演して頂きます☆








☆柴犬様…コメントありがとうございます。次回こそ、殿が活躍…されることと思います。気長にお待ち頂けると有難いです☆











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プロフィール

南 ユキ

Author:南 ユキ
シンケン妄想小説置き場です


朴路美さん見たさにシンケンを見て、殿にハマった……大人です。
そして、妄想が膨らみ、殿×ことはの小説なんぞを書かせて頂いてます。

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