八朔の雪 4
☆今回は…赤も黄も、他の侍の方々ですら出演されていません。流れ上、描かせていただきました。今回の連載では、薄皮太夫さんの過去にも手を入れさせて頂く予定です☆
……八月に舞う雪は、なんと艶やかな……
……皆、叶わぬ夢を見ているでありんすよ……
……お前もか?…薄雪……
……わちきは……わちきの夢は、新さんが叶えてくれるのでありんしょう?
……ああ、そうだったな。必ず……お前を…………。
「……八月の雪…か」
女は、冷たい月の光が降り注ぐ中、その月を仰ぎ見ながら、ぽつり…と、そう呟いた。
「三途の川にいると、今が何月かわからなくなるものなのか?」
女は、自分の呟きに対し、返事があるとは思っていなかったため、驚き、すぐさま、その声の方へと振り返った。
「ふっ……馬鹿を言うな。いくら三途の川にいたとて、暦くらいはわかるさ」
女は声の主を確認すると、小さく笑い、そう続けた。
「昔…吉原では、毎年、八月朔日に、雪が舞ったのだ。白いそれに袖を通し、叶わぬと知りつつも、恋し相手を想うてな」
「恋し相手……か。…で、それが何だと言うんだ?」
女の意図が読めぬ事に、女の背後に立つ男は、苛立ちを声に滲ませた。
「愛と憎しみは紙一重。愛しい想いが叶わぬとなったなら、あの小娘はどうするのだろうな」
月を仰ぎ見る女の口元が、不敵に弧を描いた。
「小娘?」
「シンケンイエローのことだ。お前、シンケンレッドにご執心のようだが、その命…お前ではなく、家臣に奪われるかもしれぬ」
女の声は、どこか楽しそうだった。
「今のあいつには、何の魅力もない。誰に殺されようと、俺にはもう関係ない。……だが、家臣に命を奪われるかもしれないとは興味深い。時間はたっぷりある。詳しく話せ」
不破十臓はそう言葉を口にすると、その場に胡座をかいた。
十臓にそう言われた女…薄皮太夫は、口元に浮かべた笑みをそのままに、十臓に向かい合う形で腰を下ろしたのだった。
☆八朔の雪…まだ謎な部分があり
ますが、それは後々描いていく予定です。太夫さんが人間であった頃の話は、オリジナルに沿ってはいますが、妄想となります。さて、次回は島から帰った後…夜を描く予定であります。亀更新で、ご迷惑をおかけしてしまいますが、気長にお待ち下さいませ☆
☆ころちゃん様…すみません。次回はことはちゃんメインの話となる予定です。泣かせるのは…もう少しお待ち下さいませ☆
☆momoko様…お忙しい中、お越し頂きありがとうございます。なかなか本編に沿って書くのは大変です。でも…私が赤×黄を強く思わされた辺りで、ずっと描きたかったところでもあります。そこに、私の好きな太夫さんも絡めてみました。お楽しみ頂けると嬉しいです☆
……八月に舞う雪は、なんと艶やかな……
……皆、叶わぬ夢を見ているでありんすよ……
……お前もか?…薄雪……
……わちきは……わちきの夢は、新さんが叶えてくれるのでありんしょう?
……ああ、そうだったな。必ず……お前を…………。
「……八月の雪…か」
女は、冷たい月の光が降り注ぐ中、その月を仰ぎ見ながら、ぽつり…と、そう呟いた。
「三途の川にいると、今が何月かわからなくなるものなのか?」
女は、自分の呟きに対し、返事があるとは思っていなかったため、驚き、すぐさま、その声の方へと振り返った。
「ふっ……馬鹿を言うな。いくら三途の川にいたとて、暦くらいはわかるさ」
女は声の主を確認すると、小さく笑い、そう続けた。
「昔…吉原では、毎年、八月朔日に、雪が舞ったのだ。白いそれに袖を通し、叶わぬと知りつつも、恋し相手を想うてな」
「恋し相手……か。…で、それが何だと言うんだ?」
女の意図が読めぬ事に、女の背後に立つ男は、苛立ちを声に滲ませた。
「愛と憎しみは紙一重。愛しい想いが叶わぬとなったなら、あの小娘はどうするのだろうな」
月を仰ぎ見る女の口元が、不敵に弧を描いた。
「小娘?」
「シンケンイエローのことだ。お前、シンケンレッドにご執心のようだが、その命…お前ではなく、家臣に奪われるかもしれぬ」
女の声は、どこか楽しそうだった。
「今のあいつには、何の魅力もない。誰に殺されようと、俺にはもう関係ない。……だが、家臣に命を奪われるかもしれないとは興味深い。時間はたっぷりある。詳しく話せ」
不破十臓はそう言葉を口にすると、その場に胡座をかいた。
十臓にそう言われた女…薄皮太夫は、口元に浮かべた笑みをそのままに、十臓に向かい合う形で腰を下ろしたのだった。
☆八朔の雪…まだ謎な部分があり
ますが、それは後々描いていく予定です。太夫さんが人間であった頃の話は、オリジナルに沿ってはいますが、妄想となります。さて、次回は島から帰った後…夜を描く予定であります。亀更新で、ご迷惑をおかけしてしまいますが、気長にお待ち下さいませ☆
☆ころちゃん様…すみません。次回はことはちゃんメインの話となる予定です。泣かせるのは…もう少しお待ち下さいませ☆
☆momoko様…お忙しい中、お越し頂きありがとうございます。なかなか本編に沿って書くのは大変です。でも…私が赤×黄を強く思わされた辺りで、ずっと描きたかったところでもあります。そこに、私の好きな太夫さんも絡めてみました。お楽しみ頂けると嬉しいです☆
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