if… 7
☆なんとか、目途がついてきました。10くらいで終われることと思います。もう少し、お付き合いください☆
茉子が部屋から去り、ことはが持ってきてくれたおにぎりを食べ終えると、辺りを見回した。
自分の部屋と寸分変わらないように思えるが、やはりどこか落ち着かない。
丈瑠は立ちあがると、本棚の置かれた場所へと足を向けた。
志葉の書庫ほどではないが、そこにも様々な書が収められていた。
丈瑠はその書の中から、一つの書を手に取った。
それは、自身が毎日書き綴っていた、外道衆との戦いの記録…の様なもの、所謂、日記であった。
「この世界では、本当に、ドウコクは封印されているんだな」
封印の文字を用いて、宿敵ドウコクを封印したことが、自身の字にて記されたいた。
そして、そこには、いつまたドウコクが復活するであろう不安も書かれていた。
……だからこそ、早く封印のモヂを継ぐ、自身の血を継ぐ子が必要であるのだと。
「……志葉の血を継ぐ子……。そのためだけに、志葉の殿様は、妻を娶り、子を作るのか。……虚しいな。影武者ではなく、正式に志葉の当主であるからこその、孤独……。恋愛をする自由というものはない……ということか」
胸が締め付けられるようだった。
もし自分が影武者でなかったら、仲間に嘘を吐く必要はなく、その嘘に苦しむこともなかったのではないか。
嘘に縛られず、ことはに自分の気持ちを早い段階から伝えられたのではないか。
闇に捕われることもなければ、十臓との戦いでみんなを……ことはを悲しませることもなかったのではないか。
前世を思い出し、先祖が辿った運命を知ったがために、心の奥底で、芽生えた思い。
もし影武者でなかったら……自分は幸せな人生を送っていたはずだったのだと。
「そんな身勝手な思いが、俺をこの世界に呼び寄せたんだろうな」
丈瑠は、ぽつり…とそう呟くと、手にしていた書を閉じ、棚に戻そうとしたが、何かが目に入りその手を止めた。
「ん?奥に何か……」
手にしていた書の置かれていた奥に、何かを見つけた丈瑠は、周りの書を横にずらし、その何かを引っ張り出した。
それは丁寧に布に包まれていた。
その布を素早くと捲っていた丈瑠だったが、最後の1枚を捲る手を止めた。
……これは…………
丈瑠には、布を捲らなくても、その中身が想像できたからだ。
それは、竹で出来た……何か。
そう確信をした丈瑠は、最後の1枚をゆっくりと捲った。
……ことは。
それは、ことはが京都より持ってきた……大切な竹細工。
戦いの後、いつも自身を癒してくれた、ことはの笛であった。
「そうか、お前も……」
丈瑠は手にした笛を力いっぱい握り締め、天を仰いだ。
……お前も、ことはを……。
俺には……わかる。
ことはを遠ざけるため、辛くあたったのだろう?
それが、更に自分を傷つけるとも知らずに……。
でも、そうすることでしか、自分の気持ちを隠す事が出来なかった。
本当の自分は、不器用で、人一倍熱く……そして、誰よりも人を、ことはを愛しているんだ。
志葉の当主だから、決して結ばれることのない相手。
家臣であり、当主を守る侍であり……決して隣に並ぶ事を許されぬ相手。
……お前も、望んだのだろう?
考えたのだろう?
もし、自分が志葉の当主ではなかったら……と。
俺が、影武者でなかったら、と考えたように。
……お前は今、俺の世界にいるのか?
隣に、ことはがいるのか?
素直に……自分を出せているのか?
……幸せな思いを……抱くことが出来ているのか?
丈瑠は目を瞑ると、聞こえるはずのない相手に向かい、そう問うたのだった。
☆昨日、久しぶりに緊急地震速報が鳴りましたね。少し大きい地震でした。3,11を思い出してしまいます。11日の数日前に、少し大きい地震があったあとの大震災だったもので、今も不安が拭えません。皆様は大丈夫でしょうか?☆
☆Amanda様・・・初めましてです。私なんぞの作品をお読み頂き、ありがとうございます。かなり、偏った妄想話が多い私ですが、お楽しみ頂けたら、幸いです☆
☆momoko様・・・お忙しい中、コメント、ありがとうございます。私も赤×青話を書きたくなってしまいました。影・・・もちろん楽しみにしていますが、ラブラブ話も大好きですので、今回のお話もニヤニヤしながら、幸せな気持ちで読ませて頂いてます☆
☆sin様・・・さすがsin様!!するどいですね。今回の話で『殿様』の気持ちを知って頂けたと思います。さて、最後はどうなることやら・・・。お楽しみにして頂けると、嬉しいです☆
茉子が部屋から去り、ことはが持ってきてくれたおにぎりを食べ終えると、辺りを見回した。
自分の部屋と寸分変わらないように思えるが、やはりどこか落ち着かない。
丈瑠は立ちあがると、本棚の置かれた場所へと足を向けた。
志葉の書庫ほどではないが、そこにも様々な書が収められていた。
丈瑠はその書の中から、一つの書を手に取った。
それは、自身が毎日書き綴っていた、外道衆との戦いの記録…の様なもの、所謂、日記であった。
「この世界では、本当に、ドウコクは封印されているんだな」
封印の文字を用いて、宿敵ドウコクを封印したことが、自身の字にて記されたいた。
そして、そこには、いつまたドウコクが復活するであろう不安も書かれていた。
……だからこそ、早く封印のモヂを継ぐ、自身の血を継ぐ子が必要であるのだと。
「……志葉の血を継ぐ子……。そのためだけに、志葉の殿様は、妻を娶り、子を作るのか。……虚しいな。影武者ではなく、正式に志葉の当主であるからこその、孤独……。恋愛をする自由というものはない……ということか」
胸が締め付けられるようだった。
もし自分が影武者でなかったら、仲間に嘘を吐く必要はなく、その嘘に苦しむこともなかったのではないか。
嘘に縛られず、ことはに自分の気持ちを早い段階から伝えられたのではないか。
闇に捕われることもなければ、十臓との戦いでみんなを……ことはを悲しませることもなかったのではないか。
前世を思い出し、先祖が辿った運命を知ったがために、心の奥底で、芽生えた思い。
もし影武者でなかったら……自分は幸せな人生を送っていたはずだったのだと。
「そんな身勝手な思いが、俺をこの世界に呼び寄せたんだろうな」
丈瑠は、ぽつり…とそう呟くと、手にしていた書を閉じ、棚に戻そうとしたが、何かが目に入りその手を止めた。
「ん?奥に何か……」
手にしていた書の置かれていた奥に、何かを見つけた丈瑠は、周りの書を横にずらし、その何かを引っ張り出した。
それは丁寧に布に包まれていた。
その布を素早くと捲っていた丈瑠だったが、最後の1枚を捲る手を止めた。
……これは…………
丈瑠には、布を捲らなくても、その中身が想像できたからだ。
それは、竹で出来た……何か。
そう確信をした丈瑠は、最後の1枚をゆっくりと捲った。
……ことは。
それは、ことはが京都より持ってきた……大切な竹細工。
戦いの後、いつも自身を癒してくれた、ことはの笛であった。
「そうか、お前も……」
丈瑠は手にした笛を力いっぱい握り締め、天を仰いだ。
……お前も、ことはを……。
俺には……わかる。
ことはを遠ざけるため、辛くあたったのだろう?
それが、更に自分を傷つけるとも知らずに……。
でも、そうすることでしか、自分の気持ちを隠す事が出来なかった。
本当の自分は、不器用で、人一倍熱く……そして、誰よりも人を、ことはを愛しているんだ。
志葉の当主だから、決して結ばれることのない相手。
家臣であり、当主を守る侍であり……決して隣に並ぶ事を許されぬ相手。
……お前も、望んだのだろう?
考えたのだろう?
もし、自分が志葉の当主ではなかったら……と。
俺が、影武者でなかったら、と考えたように。
……お前は今、俺の世界にいるのか?
隣に、ことはがいるのか?
素直に……自分を出せているのか?
……幸せな思いを……抱くことが出来ているのか?
丈瑠は目を瞑ると、聞こえるはずのない相手に向かい、そう問うたのだった。
☆昨日、久しぶりに緊急地震速報が鳴りましたね。少し大きい地震でした。3,11を思い出してしまいます。11日の数日前に、少し大きい地震があったあとの大震災だったもので、今も不安が拭えません。皆様は大丈夫でしょうか?☆
☆Amanda様・・・初めましてです。私なんぞの作品をお読み頂き、ありがとうございます。かなり、偏った妄想話が多い私ですが、お楽しみ頂けたら、幸いです☆
☆momoko様・・・お忙しい中、コメント、ありがとうございます。私も赤×青話を書きたくなってしまいました。影・・・もちろん楽しみにしていますが、ラブラブ話も大好きですので、今回のお話もニヤニヤしながら、幸せな気持ちで読ませて頂いてます☆
☆sin様・・・さすがsin様!!するどいですね。今回の話で『殿様』の気持ちを知って頂けたと思います。さて、最後はどうなることやら・・・。お楽しみにして頂けると、嬉しいです☆
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