追憶の桜 30
☆またまた、先に謝らせていただきます。・・・殿さまが出てくるところまで話を書けませんでした。・・・次回こそは、きっと・・・多分・・・・・・何とか・・・書けるかな?☆
「……丈瑠が、志葉の…それも本家の血筋だったなんてね……」
庭の隅の縁石に腰を掛け、月を臨みながら茉子はそう呟いた。
その茉子の隣に、ことはは足元に視線を落としながら座っていた。
「あの爺さんは、全部知った上で丈瑠に……あんなこと言ったんだな」
千明は、冷たい視線を屋敷へと向けてそう言った。
「あんな…こと?」
「丈瑠が影武者だって知った時に、あの爺さんが言った言葉だよ!!あいつ、丈瑠の事…全部嘘って、偽りの殿って言ったんだよ!!」
ことはの問いに、千明は怒鳴るように返事をした。
「千明、ことはに当たるな」
そう冷静に言い放った流ノ介だったが、彼もまたどこか苛ついている様に見えた。
「ごめん……でも、うち…丹波さんの、あの時の言葉って…千明が思ってるのとはちょっと違うんかな…って……」
「はぁ?何言ってんだよ!?あれは丈瑠への侮辱以外の何もんでもねーだろ!!」
「落ち着けって千明。……でもよ、ことはちゃん、俺もことはちゃんの言ってる意味がわかんねーんだけど?
」
いつものことはなら、千明だけでなく源太にまで否定的なことを言われれば、途端に口を噤んでしまっただろう。
しかし、今回ばかりは、自分の意見をきちんと皆に伝えなければいけないと、ことはは意を決っすると、きゅ…っと唇を軽く噛んで、足元に落としていた視線を千明に向けたのだった。
「丹波さんは、殿さまを『志葉』から引き離したかったんやないんかなって思うん。あんなキツいことを言うて、二度と『志葉』に戻らないように……普通の生活を、影として命を脅かされるような生活から解き放してあげたかったんやないんかな……って」
「わざと酷いことを言ったってこと?」
茉子は、優しい瞳をことはに向けた。
「殿さまは、ほんま強くて……。そんな殿さまが影やとわかったからって、何も屋敷から追い出す必要なんてなかったと思うん。それこそ、ドウコクに封印を施すまでの間、殿さまに楯になってもらうとか考えられたはず。なのに、あんな言い方して、『志葉』からも、うちらからも引き離して……」
「丈瑠を救いたかったって…そうことはは言いたいのね」
……それだけじゃないかもしれない。
外道に堕ちた…当主になるはずだった人の血に不安を覚えていたのかもしれない。
どういう経緯で、丈瑠の御先祖様が外道に堕ちたのかは知らないが、でも、それだけ強い執着を持つDNAを丈瑠も継いでいる。
だとすれば、丹波さんはその血も『志葉』から避けたかったのかもしれない。
悪意からではなく、再び…その血が外道へと堕ちないために。
「丹波さんの言葉の真意は、本人にしかわからない。それに…今はそんなことより、どうやって殿をお戻しするかが問題だ。姫は策はない、とはおっしゃっていたが、きっと何か考えがあるはず。とにかく我々は明日のために体を休めておくべきだ」
「……だな。俺は丹波の爺さんが優しさであんな事を言ったなんて、やっぱり思えねー。でも、丈瑠がきちんと丈瑠に戻った後に、その真意とやらを聞いてやってもいいって思う。だから、とにかく、今は明日のことだけ考えて…もう寝るわ」
そういうと、千明は後ろ向きのまま手を振ると、屋敷へと戻っていった。
「待て、千明!!俺も一緒に戻る!!…じゃあ、そういうことで、また明日な」
源太は慌てて千明の後を追うと、軽く振りかえって小さく手を振った。
そんな源太の姿に苦笑しながら「相変わらず騒がしいやつだな」…と流ノ介は呟くと「私たちも戻ろう」と、茉子とことはを促し、その場を後にしたのだった。
そんな侍達の姿を、庭の桜が枝を揺らし、花びらを散らしながら見ていたのを……その場にいた誰もが知る由もなかった。
☆今回は、庭の隅での会話と言う事で、彦馬さんはその場にはおりません(とりあえず説明まで)。そして、この屋敷にも植えられている『桜』・・・今回の題名であるこの『桜』がキーとなってくる予定です。そして、ようやく次回、話が進みます。お楽しみにして頂ければ幸いです☆
☆sin様、ようやく夏休みが終わりそうです。・・・が毎日暑いですね。今年も残暑が厳しいです。1日は行事で学校に行かなければなりません。今月は他にも行事が多々あり、早く涼しくなってくれないかな~と切に願っている私です☆
☆文の母様、ありがとうございます。読んで頂けるだけで嬉しいです☆
「……丈瑠が、志葉の…それも本家の血筋だったなんてね……」
庭の隅の縁石に腰を掛け、月を臨みながら茉子はそう呟いた。
その茉子の隣に、ことはは足元に視線を落としながら座っていた。
「あの爺さんは、全部知った上で丈瑠に……あんなこと言ったんだな」
千明は、冷たい視線を屋敷へと向けてそう言った。
「あんな…こと?」
「丈瑠が影武者だって知った時に、あの爺さんが言った言葉だよ!!あいつ、丈瑠の事…全部嘘って、偽りの殿って言ったんだよ!!」
ことはの問いに、千明は怒鳴るように返事をした。
「千明、ことはに当たるな」
そう冷静に言い放った流ノ介だったが、彼もまたどこか苛ついている様に見えた。
「ごめん……でも、うち…丹波さんの、あの時の言葉って…千明が思ってるのとはちょっと違うんかな…って……」
「はぁ?何言ってんだよ!?あれは丈瑠への侮辱以外の何もんでもねーだろ!!」
「落ち着けって千明。……でもよ、ことはちゃん、俺もことはちゃんの言ってる意味がわかんねーんだけど?
」
いつものことはなら、千明だけでなく源太にまで否定的なことを言われれば、途端に口を噤んでしまっただろう。
しかし、今回ばかりは、自分の意見をきちんと皆に伝えなければいけないと、ことはは意を決っすると、きゅ…っと唇を軽く噛んで、足元に落としていた視線を千明に向けたのだった。
「丹波さんは、殿さまを『志葉』から引き離したかったんやないんかなって思うん。あんなキツいことを言うて、二度と『志葉』に戻らないように……普通の生活を、影として命を脅かされるような生活から解き放してあげたかったんやないんかな……って」
「わざと酷いことを言ったってこと?」
茉子は、優しい瞳をことはに向けた。
「殿さまは、ほんま強くて……。そんな殿さまが影やとわかったからって、何も屋敷から追い出す必要なんてなかったと思うん。それこそ、ドウコクに封印を施すまでの間、殿さまに楯になってもらうとか考えられたはず。なのに、あんな言い方して、『志葉』からも、うちらからも引き離して……」
「丈瑠を救いたかったって…そうことはは言いたいのね」
……それだけじゃないかもしれない。
外道に堕ちた…当主になるはずだった人の血に不安を覚えていたのかもしれない。
どういう経緯で、丈瑠の御先祖様が外道に堕ちたのかは知らないが、でも、それだけ強い執着を持つDNAを丈瑠も継いでいる。
だとすれば、丹波さんはその血も『志葉』から避けたかったのかもしれない。
悪意からではなく、再び…その血が外道へと堕ちないために。
「丹波さんの言葉の真意は、本人にしかわからない。それに…今はそんなことより、どうやって殿をお戻しするかが問題だ。姫は策はない、とはおっしゃっていたが、きっと何か考えがあるはず。とにかく我々は明日のために体を休めておくべきだ」
「……だな。俺は丹波の爺さんが優しさであんな事を言ったなんて、やっぱり思えねー。でも、丈瑠がきちんと丈瑠に戻った後に、その真意とやらを聞いてやってもいいって思う。だから、とにかく、今は明日のことだけ考えて…もう寝るわ」
そういうと、千明は後ろ向きのまま手を振ると、屋敷へと戻っていった。
「待て、千明!!俺も一緒に戻る!!…じゃあ、そういうことで、また明日な」
源太は慌てて千明の後を追うと、軽く振りかえって小さく手を振った。
そんな源太の姿に苦笑しながら「相変わらず騒がしいやつだな」…と流ノ介は呟くと「私たちも戻ろう」と、茉子とことはを促し、その場を後にしたのだった。
そんな侍達の姿を、庭の桜が枝を揺らし、花びらを散らしながら見ていたのを……その場にいた誰もが知る由もなかった。
☆今回は、庭の隅での会話と言う事で、彦馬さんはその場にはおりません(とりあえず説明まで)。そして、この屋敷にも植えられている『桜』・・・今回の題名であるこの『桜』がキーとなってくる予定です。そして、ようやく次回、話が進みます。お楽しみにして頂ければ幸いです☆
☆sin様、ようやく夏休みが終わりそうです。・・・が毎日暑いですね。今年も残暑が厳しいです。1日は行事で学校に行かなければなりません。今月は他にも行事が多々あり、早く涼しくなってくれないかな~と切に願っている私です☆
☆文の母様、ありがとうございます。読んで頂けるだけで嬉しいです☆
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