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追憶の桜 24

☆姫&丹波登場となります☆

















都心から少し離れた山の麓、青々と茂った竹林を抜けた先にある小さな小川の上流へと足を進めると、大きな水車小屋が見えた。
そこから延びた石畳に倣って、鬱蒼と茂る木々の間を、さらに奥へと進んで行くと、いきなり目の前が開け、侍達はきょろきょろと辺りを見回した。




「はぁ~すげぇな……こんな山奥に、こんな屋敷があるなんてなぁ」




まっ先に口を開いたのは源太だった。




「ここは、姫が外道衆より身を隠され、封印のモヂを習得された屋敷である。志葉の人間でもこの屋敷を知る者は多くない。殿も存在は御存じでも、実際に足を運ばれたことはないのだ」




彦馬は口が開きっぱなしになっている源太に向かって、そう説明した。
もちろん、他の者達にとっても、今、初めて知ることとなった。




「さ、こんな所で話している暇はない」




そして、そう彦馬に促され、目の前にひっそりと、しかしながら荘厳に佇むその邸の中へと皆は足を踏み入れた。
すると、そこには黒子がすでに待ち構えており、皆を奥の座敷へと案内した。












「そろそろ来る頃だろうと思っていた」




そう声を発したのは志葉家前当主であった薫姫だった。
その声にすぐさま反応した侍達はその場に片膝を着き、代表して流ノ介が挨拶をしようとしたが、それを薫が制した。




「挨拶はいい。とにかく座れ。日下部もだ」


「姫、挨拶は礼儀ですぞ。こういう事はきちんと……」


「うるさい。今はそんなことを言っている余裕などないだろう。いいから、お前もそこに座れ」



姫と丹波のやり取りに、源太は相変わらずだなぁ……と、少し微笑ましく思い顔を崩したが、すぐにその顔を引き締め、その場に座った。




「丈瑠の身に何かが起こっている……しかも、その丈瑠が私を探し、刃を向けようとしている…と。私はそれしか聞いていない。何があった?話せ」




丹波から視線を外すと、その視線を源太に送った。
……が、それに対し口を開いたのは源太ではなく、千明だった。




「何があったか…を話す前に、聞きたいことがある……じゃなくて、あります」


「フッ…お前らしくないな。いつも通りで構わない」




薫は千明に向かって、軽く笑みを見せた。
千明はそれに対し、軽く頭を下げると、丹波の方へと険しい顔を向けた。




「丈瑠と丈瑠の親父さんを連れてきたのは、アンタだって聞いた。アンタは丈瑠達が火のモヂを使えることを知ってたんだよな?……何でだよ?何で知ってたんだよ?……それって………………」


「殿が志葉家ゆかりのお方だったからではないのですか?」




言葉に出来ないでいた千明に代わり、核心をついたのは流ノ介だった。
その言葉に大きく目を見開いたのは、薫姫だった。




「な…んだと?どういうことだ?丈瑠が志葉の人間だと言うのか?」


「モヂカラは生まれつき持っているもの。後天的に身に着けられるものではないはず。ならば、殿は志葉の火のモヂカラを僅かでも受け継いでおられるのでは……と、我々は思っているのですが……」


「そう、丈瑠の中のヤツが言ったんだ。自分は影武者として生まれた…って。火を受け継いで生まれてくることがわかっていた。……それって、努力とかでモヂを習得したんじゃねーよな。流ノ介が言ったように、そいつにも丈瑠にも僅かなりとも志葉の血が入ってるってことだろ!?すっげー遠縁かもしんねーけど、侍の血が丈瑠の中流れてるってことだよな!?じぃさん!!」




興奮してきた千明はその場に立ちあがり、丹波を見降ろし悲痛な顔をして、そう怒鳴ったのだった。



















☆・・・茉子ちゃん、ことはちゃんもいるんですがね、なかなか登場させてあげられず・・・。とりあえずは、千明、流ノ介に疑問をぶつけてもらいました。さて、次回・・・丹波さんはどう返事をするのでしょうか?お楽しみにしていてもらえると嬉しいです☆


☆それから・・・いつも、拍手を頂き、ありがとうございます。私が勝手に思い描いた妄想を、誰かに読んで頂けるとは思っていませんでした。本当に嬉しくて、ありがたくて・・・。これからもがんばろうって思えます☆













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プロフィール

南 ユキ

Author:南 ユキ
シンケン妄想小説置き場です


朴路美さん見たさにシンケンを見て、殿にハマった……大人です。
そして、妄想が膨らみ、殿×ことはの小説なんぞを書かせて頂いてます。

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