追憶の桜 2
☆今回の連載では、姫も登場予定(まだ先の方でですが)です。そして、かなり勝手な『影武者』の解釈を書かせて頂きます。それでも宜しければ、ご覧下さい☆
「ことはと言えば、殿が仕事でいらっしゃらない時に、書庫に籠っていたようでしたが、何かお探しで?」
彦馬は、眉間に皺を寄せたまま箸を持ち直した丈瑠に、そう問うた。
「ことはが?……いや、俺は何も頼んではいないが」
丈瑠はそれ以上は何も言わず、目の前の膳に箸を運び、再び規則的に口に入れていった。
その所作が『もう何も聞くな』との無言の命令であることを彦馬と源太は知っていた。
ことはの事なのに、何も知らなかった…というのが、丈瑠にとって面白くないのであろうと、二人は思っていた。
が、丈瑠の思いは少し違っていた。
……ことはは、何を探していたのだろう?
あの時からだ、ことはが何かを考え込むようになったのは。
縁側で抱きしめた時、ことはは……泣いているようだった。
『きっとマリッジブルーよ。私たち女の子は繊細なんだからね』
何かの用で電話してきた茉子に、さりげなくことはの様子を話した時に返ってきた言葉だった。
茉子より、流ノ介のほうが繊細だろう……と丈瑠は思いつつも、それを口にすることは…怖くて出来なかった。
……確かに、普通の結婚であっても、不安になるはず。
それが、志葉の当主に嫁ぐという不安はかなりなものだろう。
丈瑠は茉子の言葉に納得し、その事について、深くは考える事はなかった。
だが、今は何故かその時のことはが関係しているのではないか?…と丈瑠には思えてならなかった。
ことはが泣く…よくよく考えれば、余程の事である。
志葉に嫁ぐことへの不安くらいで、泣くことはでないことは、丈瑠が一番良く知っていた。
……違う。マリッジブルーなんてのは、有り得ない。
だったら、一体……。
丈瑠は出された膳を綺麗に片付けると、何も言わずに書庫へと足を向けたのだった。
☆sin様、今回も題名通り…『桜』がキーワードとなります。上手く絡めて話を作れると良いのですが……。さて、そんな桜ですが、今年は関東での開花は遅く、なかなかお花見の予定が立てられませんねぇ。でも、この話をかき上げる頃には満開を通り越して、散ってしまっていることでしょう。……頑張って更新したいと思います☆
「ことはと言えば、殿が仕事でいらっしゃらない時に、書庫に籠っていたようでしたが、何かお探しで?」
彦馬は、眉間に皺を寄せたまま箸を持ち直した丈瑠に、そう問うた。
「ことはが?……いや、俺は何も頼んではいないが」
丈瑠はそれ以上は何も言わず、目の前の膳に箸を運び、再び規則的に口に入れていった。
その所作が『もう何も聞くな』との無言の命令であることを彦馬と源太は知っていた。
ことはの事なのに、何も知らなかった…というのが、丈瑠にとって面白くないのであろうと、二人は思っていた。
が、丈瑠の思いは少し違っていた。
……ことはは、何を探していたのだろう?
あの時からだ、ことはが何かを考え込むようになったのは。
縁側で抱きしめた時、ことはは……泣いているようだった。
『きっとマリッジブルーよ。私たち女の子は繊細なんだからね』
何かの用で電話してきた茉子に、さりげなくことはの様子を話した時に返ってきた言葉だった。
茉子より、流ノ介のほうが繊細だろう……と丈瑠は思いつつも、それを口にすることは…怖くて出来なかった。
……確かに、普通の結婚であっても、不安になるはず。
それが、志葉の当主に嫁ぐという不安はかなりなものだろう。
丈瑠は茉子の言葉に納得し、その事について、深くは考える事はなかった。
だが、今は何故かその時のことはが関係しているのではないか?…と丈瑠には思えてならなかった。
ことはが泣く…よくよく考えれば、余程の事である。
志葉に嫁ぐことへの不安くらいで、泣くことはでないことは、丈瑠が一番良く知っていた。
……違う。マリッジブルーなんてのは、有り得ない。
だったら、一体……。
丈瑠は出された膳を綺麗に片付けると、何も言わずに書庫へと足を向けたのだった。
☆sin様、今回も題名通り…『桜』がキーワードとなります。上手く絡めて話を作れると良いのですが……。さて、そんな桜ですが、今年は関東での開花は遅く、なかなかお花見の予定が立てられませんねぇ。でも、この話をかき上げる頃には満開を通り越して、散ってしまっていることでしょう。……頑張って更新したいと思います☆
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