闇を彷徨う心 20
十臓の動きを察すると、源太は丈瑠のもとへと駆け寄り、十臓との間に立ちふさがった。
「どけ、寿司屋」
「いや、どかねぇ!!」
「……ならば、斬る」
十臓が裏正を構える。
源太も腰を落とし、サカナマルの柄をギュ…と握りしめる。
その刹那、十臓が源太の懐に素早く入りこんだ。
「しまっ……!!」
た……と言う前に、十臓の裏正が源太の鳩尾へとめり込むと、そのまま前へと倒れてしまった。
「源太!!」
記憶をなくして、初めて丈瑠が呼んだ名が、源太の耳に届くことはなかった。
「これで、邪魔者はいなくなった」
十臓は裏正の剣先を丈瑠の顎先へと持っていくと、再び笑みを見せた。
「貴様……」
痛みに顔をしかめながらも、丈瑠は立ち上がると、無意識のうちに手にシンケンマルを握っていた。
『こりゃ……てぇへんだ!!急がねぇと!!』
物陰から全てを見ていたダイゴヨウは、気づかれないように、急ぎその場を後にした。
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