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闇を彷徨う心  9










「俺は……何者だ?」


丈瑠は外への視線をそのままに、自分の背に視線を送ることはにそう問うた。


「え?…あの…えっと……」


いきなり声を掛けられたことはは、答えに詰まってしまった。


「いいづらいか?」


「そんなんじゃ……、あ、そうや!!うちらを引っ張ってくれる人です。前に立ってうちらの行く方向を導いてくれる…そんな人です」


ことはは曖昧に、でも自分や仲間達が思っている丈瑠への尊敬の思いを告げた。


「なら、何で…こんなに虚しいんだろうな……」


ことはを一度も見ずに発した丈瑠の声は、今まで聞いたこともないほど、弱々しかった。
そんな丈瑠に、ことはは掛ける言葉が見つからなかった。






「『たける』ってのが俺の名前なのか?」


少しの沈黙の後…丈瑠は、今まで外にしか向けていなかった視線をことはに移した。
その言葉は、黙ってしまったことはに対しての気遣いだった。


記憶はなくとも、目の前の少女が悲しい表情見せるのがたまらなく辛かった。
丈瑠にとっては…昨日初めて出会った少女。
その少女に対し、その気持ちがどういったものなのか、丈瑠にはわからなかったが、ただ……彼女に涙を流させたくないと思ったのだった。



























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南 ユキ

Author:南 ユキ
シンケン妄想小説置き場です


朴路美さん見たさにシンケンを見て、殿にハマった……大人です。
そして、妄想が膨らみ、殿×ことはの小説なんぞを書かせて頂いてます。

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