if… 10
☆病院の待合室にて、携帯で更新をしているため、読みづらい部分もあるかと思います。お許し下さい☆
「そろそろ、ことはちゃん、京都に着く頃じゃね~か?」
縁側にて、柱にもたれ掛かるようにして庭を眺めている丈瑠に向かい、源太はそう声を掛けた。
「ああ……そうだな」
丈瑠は源太に顔を向けることなく返事をした。
「源太、お前は何で……知ったんだ?」
「あー…殿様の事か?」
『殿様』の言葉を聞き、初めて丈瑠は源太を見た。
「いつも起きてくる時間に起きて来ねぇもんだから、起こしに行ったらよ、お前は誰だ?…って言われてさ、最初はまた記憶喪失か?って思っちまったよ」
ガハハ…と笑う源太とは逆に、記憶を無くした時のことが甦り、丈瑠は自身の胸元をぎゅ…っと握りしめた。
「それで?」
「話を聞いたらよ、俺だけ知らねぇって言うし、何より、その後顔出したことはちゃんにキツイ事言うしよ~、こりゃ~俺らの知ってる丈ちゃんじゃねぇって結論に至ったわけだ」
……順応性があるのか、ただ単に単純な奴なのか……。
「彼は、ことはに…何を言ったんだ?」
「いやぁ…なんだ、…俺の部屋に気安く入ってくるな……って」
源太は言いづらそうにしながらも、殿様が言いはなったキツイ一言を伝えた。
その言葉を聞き、丈瑠の顔色が一気に青くなった。
「いや、大丈夫だから!!俺がその後、上手く言い訳しといたから、ことはちゃんは大丈夫だったから、な?」
源太は慌てて、丈瑠をフォローした。
……ったく、ことはちゃんの事となると、すぐに弱くなっちゃって。
「まあ、それに、すぐに殿様の気持ちってのも知ったしなぁ……」
「殿様の気持ち……か」
「ああ。ことはちゃんに対し気持ちを隠してるって事。そんでもって、その気持ちを隠して、お見合いで一度だけ会ったっていう相手と結婚するってな」
……一度だけ……一度だけしか会ったことのない相手との結婚か。
「だからよ、言ってやったんだ。こっちの殿様は、ことはちゃんと結婚するんだ…ってな。そしたらよ、すっげーびっくりした顔して…でも、その後に…………」
「?……源太?」
……その後に、微笑んだんだよなぁ。
すっげー泣きそうな顔しながら……。
「いや、喜んでたよ。んでもって、京都に帰るって言いに来たことはちゃんに、帰るなって言ってよ~」
「ああ、だから、ことはは帰っていなかったんだな。……殿様の我が儘ってやつか」
「最初で最後の我が儘かぁ。何か切ね~なぁ」
哀れそうに空を仰ぐ源太に対し、丈瑠はその顔に笑みを浮かべた。
「最初で最後……には、ならないかもしれないけどな」
「え?何でだよ、丈ちゃん?」
教えてくれ、と隣で騒ぐ源太の言葉に丈瑠はただ、さあな…と笑みを見せるだけだった。
……元の世界に戻った時、その手にしている物を、殿様は周りにどう弁解するんだろうな。
こっちの世界のことはが相手とはいえ、一度でも自分の気持ちを口にしたんだ。
俺ならば、その気持ちを抑えることは出来ないだろう。
きっと、向こうの俺も……。
……いや、もし志葉の当主としての立場を優先したとしても、こっちでの思い出があればきっと、彼は可哀想なんかじゃない。
どっちの俺も、自分の選んだ道を後悔はしない……絶対に。
未だ、隣でうるさい源太の声すら、心に温かく響いてきて、無意識に顔が緩む丈瑠なのであった。
~ fin ~
☆やっと……終わらせることが出来ました。間が空いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。さて、検査の結果、気管支炎と診断されました。完治するまでは、もう少しかかりそうです☆
☆そして、拍手コメント、ありがとうございます。次回、リバースの感想と共に、お返事したいと思います☆
「そろそろ、ことはちゃん、京都に着く頃じゃね~か?」
縁側にて、柱にもたれ掛かるようにして庭を眺めている丈瑠に向かい、源太はそう声を掛けた。
「ああ……そうだな」
丈瑠は源太に顔を向けることなく返事をした。
「源太、お前は何で……知ったんだ?」
「あー…殿様の事か?」
『殿様』の言葉を聞き、初めて丈瑠は源太を見た。
「いつも起きてくる時間に起きて来ねぇもんだから、起こしに行ったらよ、お前は誰だ?…って言われてさ、最初はまた記憶喪失か?って思っちまったよ」
ガハハ…と笑う源太とは逆に、記憶を無くした時のことが甦り、丈瑠は自身の胸元をぎゅ…っと握りしめた。
「それで?」
「話を聞いたらよ、俺だけ知らねぇって言うし、何より、その後顔出したことはちゃんにキツイ事言うしよ~、こりゃ~俺らの知ってる丈ちゃんじゃねぇって結論に至ったわけだ」
……順応性があるのか、ただ単に単純な奴なのか……。
「彼は、ことはに…何を言ったんだ?」
「いやぁ…なんだ、…俺の部屋に気安く入ってくるな……って」
源太は言いづらそうにしながらも、殿様が言いはなったキツイ一言を伝えた。
その言葉を聞き、丈瑠の顔色が一気に青くなった。
「いや、大丈夫だから!!俺がその後、上手く言い訳しといたから、ことはちゃんは大丈夫だったから、な?」
源太は慌てて、丈瑠をフォローした。
……ったく、ことはちゃんの事となると、すぐに弱くなっちゃって。
「まあ、それに、すぐに殿様の気持ちってのも知ったしなぁ……」
「殿様の気持ち……か」
「ああ。ことはちゃんに対し気持ちを隠してるって事。そんでもって、その気持ちを隠して、お見合いで一度だけ会ったっていう相手と結婚するってな」
……一度だけ……一度だけしか会ったことのない相手との結婚か。
「だからよ、言ってやったんだ。こっちの殿様は、ことはちゃんと結婚するんだ…ってな。そしたらよ、すっげーびっくりした顔して…でも、その後に…………」
「?……源太?」
……その後に、微笑んだんだよなぁ。
すっげー泣きそうな顔しながら……。
「いや、喜んでたよ。んでもって、京都に帰るって言いに来たことはちゃんに、帰るなって言ってよ~」
「ああ、だから、ことはは帰っていなかったんだな。……殿様の我が儘ってやつか」
「最初で最後の我が儘かぁ。何か切ね~なぁ」
哀れそうに空を仰ぐ源太に対し、丈瑠はその顔に笑みを浮かべた。
「最初で最後……には、ならないかもしれないけどな」
「え?何でだよ、丈ちゃん?」
教えてくれ、と隣で騒ぐ源太の言葉に丈瑠はただ、さあな…と笑みを見せるだけだった。
……元の世界に戻った時、その手にしている物を、殿様は周りにどう弁解するんだろうな。
こっちの世界のことはが相手とはいえ、一度でも自分の気持ちを口にしたんだ。
俺ならば、その気持ちを抑えることは出来ないだろう。
きっと、向こうの俺も……。
……いや、もし志葉の当主としての立場を優先したとしても、こっちでの思い出があればきっと、彼は可哀想なんかじゃない。
どっちの俺も、自分の選んだ道を後悔はしない……絶対に。
未だ、隣でうるさい源太の声すら、心に温かく響いてきて、無意識に顔が緩む丈瑠なのであった。
~ fin ~
☆やっと……終わらせることが出来ました。間が空いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。さて、検査の結果、気管支炎と診断されました。完治するまでは、もう少しかかりそうです☆
☆そして、拍手コメント、ありがとうございます。次回、リバースの感想と共に、お返事したいと思います☆
スポンサーサイト