二人の関係 完結
☆赤×黄…&青……ほのぼのラブラブ話となります。大丈夫な方のみご覧ください☆
ことはの呟きが聞こえたわけではないのだろうが、その人はゆっくりとことはの方へと顔を向けた。
そして、ことはの視線を捉えると、目を細め…優しく微笑んだ。
「こと……「おーーー!!ことはっ!!ようやく出てきたか!!」」
「…………え?」
優しく微笑んだ彼の肩口から、茶色の髪が覗き、『ことは』と言おうとした彼の言葉を遮った。
「りゅ……流さん!?」
ことはは、何が起きたのかわからず、それ以上…言葉を口にすることができなかった。
丈瑠が京都にいるだけでも理解が出来ていないのに、更に、そこには梨園のプリンス…と呼ばれるようになっている流ノ介までが立っているのだ。
「なかなか出てこないから、帰ってしまったのかと思ったぞ~」
流ノ介は、口を開き固まっていることはなど気にせずに、ニコニコしながら手を振って大きな声で話掛けた。
「流ノ介……ことはが困っている。少し、黙ってろ」
丈瑠はにこやかな流ノ介とは反対に、眉間を皺を寄せ、低い声で彼の行動を制した。
そして、固まっていることはの方へとゆっくりと歩み寄り……
「……騒がせて、すまなかった。流ノ介は顔が知れているのだから、ついて来るなって言ったんだが……」
そう言うと、自身の首に手を当て、困った風な笑顔をことはへと向けた。
普段見せることのないその笑顔に、ことはは、固まっていた体が溶かされてくのを感じた。
「いえ……嬉しいです。会えて…ほんま、嬉しいです」
ことはは飛びきりの笑顔を丈瑠に向けると、彼もそれに倣い、顔を崩した。
その姿を見た周りの女の子達は『キャーーー』と一斉に声をあげた。
「?……何を騒いでいるんだ?」
……殿さま、自覚がないんやろか?
丈瑠は自分がその声を出させているとは思ってはいなかった。
それどころか、人だかりが出来ているのだって、流ノ介のせいだと思っていた。
「なぁ、ことは……そろそろ、そっちのかっこええお二人さんを紹介してくれへん?」
ことの成行きを黙って見ていた親友が、業を煮やし口を開いた。
「あ……えっと……」
「なんだ、ことは、殿との事…まだ話していないのか?しょうがないヤツだなぁ。えーゴホンッ。こちらは、とある大手グループの御曹司であらせられ、ことはとは将来を誓い合った間柄で……」
「流さん!!」「流ノ介!!」
『将来を誓い合った』という言葉に、ことはと丈瑠はすばやく反応し、流ノ介の言葉を遮った。
「間違った事は申してはおりません。変な虫など付かぬよう、ここはしっかりと殿の存在を知って頂くべきかと」
「勝手に言ってろ!!」
丈瑠はじろり…と流ノ介を睨むと、ことはの手を取り、騒ぐ女の子の群れの中から抜け出し、「殿~~~」との流ノ介の声を背に走って去って行った。
「ここまで来れば、大丈夫だろう」
そう言うと、丈瑠は足を留め、ことはの手を離し、彼女の方へと向き直った。
「はぁはぁ……、はい…そうみたいですね」
ことはは肩で息をし、額に汗をかきながらも笑顔で言葉を返した。
「……ごめんな、ことは」
丈瑠は笑顔のことはを前に、瞳を背け、辛そうにそう呟いた。
「……?えっと…騒がれた事ですか?そんなら、うち、別に気にしてませんから」
「そうじゃない。お前が京都に行ってから、俺からは電話をしなかったこと。あんなメールしか送れなかったこと。……そして、気持ちを…きちんとお前の目を見て言葉にしていなかった……ことだ」
丈瑠はことはへと、背けた瞳を戻すと……
「ことは……お前の事が好きだ。その笑顔も、声も、全てが好きだ。……全てが欲しい」
そう言い、ポケットからラッピングされた小さな白い箱を取り出し、ことはの小さな手のひら乗せた。
「これ……」
ことはは、小さく震える指でリボンを解き、そっと蓋を開けると、みるみるうちに瞳に涙を溜めた。
中から現れたのは、ハートにカットされた紅い小さな宝石がちょこんと乗せられた指輪だった。
「流ノ介が……俺はやっぱり赤だから、ルビーがいいんじゃないか?って。お前の傍に…いつもでも俺の心を置いておきたいって意味でもいいか……と」
そう言う丈瑠の顔は、そんな宝石なんかよりも真っ赤で……、ことはは涙を一粒零したのと同時に、まぶしいほどの笑顔を向けたのだった。
「うち、ほんまは……電話出来んくて、たった3日なのに…淋しくて……。けど、そんなんで電話なんかしたら、殿さまの迷惑なんやないか……って思ったら……。なのに、こんなん…嬉し過ぎることしてくれはるなんて……うち…うち……」
「毎日、一言だけでもいい……声を聞かせてくれ。それだけで…いい。それだけで、俺は心が満たされる」
ことはを優しく包み込むと、丈瑠は耳元でそう呟き……言葉を紡ごうとした、ことはの桜色をした唇を、自身の唇で塞いだのだった。
それは、ことはにとって初めての行為……。
そして、それは…………丈瑠にとっても初めての行為であった。
……ということをことはが知るのは、もう少し後のことである。
~ fin ~
☆……尻切れになってしまいました。しかも、流さん……こんな役割ですみません。一応、この話はこれで終わりです。でも、番外編を次回、書く予定にしています。お楽しみにして頂けると、嬉しいです☆
☆次のブログでは、拍手の御礼を書かせて頂こうと思います。それと…南 ユキの近況も書けたら……と思っております☆
ことはの呟きが聞こえたわけではないのだろうが、その人はゆっくりとことはの方へと顔を向けた。
そして、ことはの視線を捉えると、目を細め…優しく微笑んだ。
「こと……「おーーー!!ことはっ!!ようやく出てきたか!!」」
「…………え?」
優しく微笑んだ彼の肩口から、茶色の髪が覗き、『ことは』と言おうとした彼の言葉を遮った。
「りゅ……流さん!?」
ことはは、何が起きたのかわからず、それ以上…言葉を口にすることができなかった。
丈瑠が京都にいるだけでも理解が出来ていないのに、更に、そこには梨園のプリンス…と呼ばれるようになっている流ノ介までが立っているのだ。
「なかなか出てこないから、帰ってしまったのかと思ったぞ~」
流ノ介は、口を開き固まっていることはなど気にせずに、ニコニコしながら手を振って大きな声で話掛けた。
「流ノ介……ことはが困っている。少し、黙ってろ」
丈瑠はにこやかな流ノ介とは反対に、眉間を皺を寄せ、低い声で彼の行動を制した。
そして、固まっていることはの方へとゆっくりと歩み寄り……
「……騒がせて、すまなかった。流ノ介は顔が知れているのだから、ついて来るなって言ったんだが……」
そう言うと、自身の首に手を当て、困った風な笑顔をことはへと向けた。
普段見せることのないその笑顔に、ことはは、固まっていた体が溶かされてくのを感じた。
「いえ……嬉しいです。会えて…ほんま、嬉しいです」
ことはは飛びきりの笑顔を丈瑠に向けると、彼もそれに倣い、顔を崩した。
その姿を見た周りの女の子達は『キャーーー』と一斉に声をあげた。
「?……何を騒いでいるんだ?」
……殿さま、自覚がないんやろか?
丈瑠は自分がその声を出させているとは思ってはいなかった。
それどころか、人だかりが出来ているのだって、流ノ介のせいだと思っていた。
「なぁ、ことは……そろそろ、そっちのかっこええお二人さんを紹介してくれへん?」
ことの成行きを黙って見ていた親友が、業を煮やし口を開いた。
「あ……えっと……」
「なんだ、ことは、殿との事…まだ話していないのか?しょうがないヤツだなぁ。えーゴホンッ。こちらは、とある大手グループの御曹司であらせられ、ことはとは将来を誓い合った間柄で……」
「流さん!!」「流ノ介!!」
『将来を誓い合った』という言葉に、ことはと丈瑠はすばやく反応し、流ノ介の言葉を遮った。
「間違った事は申してはおりません。変な虫など付かぬよう、ここはしっかりと殿の存在を知って頂くべきかと」
「勝手に言ってろ!!」
丈瑠はじろり…と流ノ介を睨むと、ことはの手を取り、騒ぐ女の子の群れの中から抜け出し、「殿~~~」との流ノ介の声を背に走って去って行った。
「ここまで来れば、大丈夫だろう」
そう言うと、丈瑠は足を留め、ことはの手を離し、彼女の方へと向き直った。
「はぁはぁ……、はい…そうみたいですね」
ことはは肩で息をし、額に汗をかきながらも笑顔で言葉を返した。
「……ごめんな、ことは」
丈瑠は笑顔のことはを前に、瞳を背け、辛そうにそう呟いた。
「……?えっと…騒がれた事ですか?そんなら、うち、別に気にしてませんから」
「そうじゃない。お前が京都に行ってから、俺からは電話をしなかったこと。あんなメールしか送れなかったこと。……そして、気持ちを…きちんとお前の目を見て言葉にしていなかった……ことだ」
丈瑠はことはへと、背けた瞳を戻すと……
「ことは……お前の事が好きだ。その笑顔も、声も、全てが好きだ。……全てが欲しい」
そう言い、ポケットからラッピングされた小さな白い箱を取り出し、ことはの小さな手のひら乗せた。
「これ……」
ことはは、小さく震える指でリボンを解き、そっと蓋を開けると、みるみるうちに瞳に涙を溜めた。
中から現れたのは、ハートにカットされた紅い小さな宝石がちょこんと乗せられた指輪だった。
「流ノ介が……俺はやっぱり赤だから、ルビーがいいんじゃないか?って。お前の傍に…いつもでも俺の心を置いておきたいって意味でもいいか……と」
そう言う丈瑠の顔は、そんな宝石なんかよりも真っ赤で……、ことはは涙を一粒零したのと同時に、まぶしいほどの笑顔を向けたのだった。
「うち、ほんまは……電話出来んくて、たった3日なのに…淋しくて……。けど、そんなんで電話なんかしたら、殿さまの迷惑なんやないか……って思ったら……。なのに、こんなん…嬉し過ぎることしてくれはるなんて……うち…うち……」
「毎日、一言だけでもいい……声を聞かせてくれ。それだけで…いい。それだけで、俺は心が満たされる」
ことはを優しく包み込むと、丈瑠は耳元でそう呟き……言葉を紡ごうとした、ことはの桜色をした唇を、自身の唇で塞いだのだった。
それは、ことはにとって初めての行為……。
そして、それは…………丈瑠にとっても初めての行為であった。
……ということをことはが知るのは、もう少し後のことである。
~ fin ~
☆……尻切れになってしまいました。しかも、流さん……こんな役割ですみません。一応、この話はこれで終わりです。でも、番外編を次回、書く予定にしています。お楽しみにして頂けると、嬉しいです☆
☆次のブログでは、拍手の御礼を書かせて頂こうと思います。それと…南 ユキの近況も書けたら……と思っております☆
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