いつかの約束
☆皆さま、クリスマスはいかが過ごされたでしょうか?我が家は風邪引きさんばかりだったので、家でのんびりしていました。そして…昨日27日は、わたくし…南の誕生日でございました。だからと言って、特になにをするわけでもなく、娘のお友達の家に遊びに行ってきました。ママさん達で楽しく語らってきて、ケーキなんかも頂いてきちゃいましたがね☆
☆さて、今年最後の更新となるやもしれませんが、一つ・・・短編を書かせて頂きました。実は、この作品の主人公さんが出演されている話、我が家にはないんです(消してしまっていて)。なので、ちょっとうろ覚えな感じなので、本編と矛盾が生じているかもしれませんが、お許し下さい。そして、この話は、前作の長編からの繋がりとなります。なので『影武者』の成り立ちなどは、南の勝手な妄想となっておりますので、ご注意ください。全く赤も黄も出てきません・・・今年最後なのにスミマセン☆
天幻寺の階段を、手に真っ白の百合の花束を下げ、一歩一歩噛みしめる様に男は登って行った。
数ヶ月前まで、寺の片隅にひっそりと置かれていた…名もなき墓石のあったであろう跡の前で一瞬足を止めた男だったが、すぐに前を向き、その場を後にし、目的の場所へと向かった。
眼下に街並みを見渡せる場所にそれはあった。
「久しぶりだな……。来るのが遅くなって悪かった。色々忙しくてな」
男は、目の前の墓石に向かって、そう声を掛けた。
そして、手にしていた百合の花束を、その墓石の前に置くと、手を合わせ瞳を閉じた。
……お前の息子は立派になった……。
そう心の中で呟くと、その『息子』が幼かったあの頃へと想いを馳せた……。
「お前、自分が何を言っているのかわかってるのか?」
男は、目の前にいる相手に向かって、責めるような口調でそう言った。
「……ああ、それが…宿命だからな」
そう答えた彼は淋しげな笑みを男に向けた。
「何が宿命だよ!?このご時世に…影武者だと?この世を護る…って、そんなのお前がすることじゃないだろ!?お前が護らなきゃならないのは、亡くなった彼女との間に生まれた息子であって、この世なんてもんじゃないだろ!!」
彼の笑みに苛立ちを覚えた男は、彼の胸倉を掴むと、自身の顔を近づけ、そう怒鳴った。
「……丈瑠」
彼は視線を男から外し、遠く先の方で無邪気に波と戯れている幼い子に目をやった。
「そうだ。丈瑠を護るのが親のお前の勤めだろうが!!だいたい、影武者なんてのは、誰かの楯になるってことだろ!?……死んでしまう事も…あるんだろ?そうなったら、丈瑠はどうなるんだよ!?身内はお前だけだろうが……」
胸倉を掴んでいた手を離すと、男もまた、彼の視線の先へと目をやった。
「俺は死なない。世を護るために、殿を護る……それだけだ。死にに行くわけじゃない。だが、もしも……本当にもしものことがあったならば、いつか、お前から話して欲しい。俺が丈瑠を愛していたということを。そして、辛い思いをすることがあるかもしれない。その時は、朔太郎…お前があいつを見守ってやって欲しい。…勝手なことばかり言ってごめんな……」
そう言った彼の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
朔太郎と呼ばれた男は、そんな彼の姿にそれ以上の言葉を繋ぐことは出来なかった。
「お前、嘘つきだよな。……なにが、俺は死なない…だよ。……ったく、もうあの時に覚悟してたんだよな、お前は。ただの親友だった俺に大層な秘密を話してくれちゃって……俺は、ただお前のすることをサポートすることしか出来なくて。でも…………本当は、お前を助けたかったよ。志葉とか、この世とかそんなの関係なく…お前と丈瑠をな」
朔太郎は、閉じていた瞳を開くと、墓石に向かって再び語りかけた。
「……すまない、お前との約束、一度破ったんだ。お前がこの世からいなくなったのが、どうしても許せなくてな。丈瑠を見守って欲しいとお前は言ったのに、俺は志葉家から一度去った。……だが、若き侍の一言が、目を覚まさせてくれたよ。お前の大切な息子は、仲間という素晴らしい宝と、心許せる伴侶を手に入れた…自分の力でな。俺はこれからも、お前の息子を見守っていくつもりだ。お前も見ててくれよな……」
朔太郎は頬を微かに緩めると、すぐにまた元の表情に戻り左手に目をやった。
「じゃあな、仕事に戻らないとだ。また休みの時にでも来てやるよ。黒子の仕事はほとんど休みがないから……当分先になるだろうけどな。……デートする相手もいないしな……ったく、お前のせいだからな、俺が独身なのは」
そして、じゃあな……と言って、軽く墓石に拳を打ち付けると、朔太郎は来た道を戻って行った。
そんな彼の後姿を、風に揺らされた百合の花がそっと見送っていたのだった。
~ 終 ~
☆少々付けたしをさせて頂きますね。・・・過去の場面、これは殿父が影武者となることを決めた時でして、まだ志葉家には参っておりません。さらには、朔太郎さんは、殿父が志葉家に影として入ることとなったため、黒子として志葉家に入った(彦馬さんに懇願した)形となっています。・・・おわかりになりましたでしょうか?大丈夫ですか?イメージ崩れちゃったりしたら、嫌だな~と思いながらも、自分なりの解釈を描かせていただきました☆
☆sin様、本年も沢山、コメントありがとうございました。そして、今年最後にお会い出来て、本当に嬉しかったです。来年も、こんな私ですが、よろしくお願いいたします。・・・私も『殿』なんだと思います。もちろん、桃李くんは大好きですし、応援していきますが、やっぱり『殿』なんですよね。来年も妄想していきます!!☆
☆さて、今年最後の更新となるやもしれませんが、一つ・・・短編を書かせて頂きました。実は、この作品の主人公さんが出演されている話、我が家にはないんです(消してしまっていて)。なので、ちょっとうろ覚えな感じなので、本編と矛盾が生じているかもしれませんが、お許し下さい。そして、この話は、前作の長編からの繋がりとなります。なので『影武者』の成り立ちなどは、南の勝手な妄想となっておりますので、ご注意ください。全く赤も黄も出てきません・・・今年最後なのにスミマセン☆
天幻寺の階段を、手に真っ白の百合の花束を下げ、一歩一歩噛みしめる様に男は登って行った。
数ヶ月前まで、寺の片隅にひっそりと置かれていた…名もなき墓石のあったであろう跡の前で一瞬足を止めた男だったが、すぐに前を向き、その場を後にし、目的の場所へと向かった。
眼下に街並みを見渡せる場所にそれはあった。
「久しぶりだな……。来るのが遅くなって悪かった。色々忙しくてな」
男は、目の前の墓石に向かって、そう声を掛けた。
そして、手にしていた百合の花束を、その墓石の前に置くと、手を合わせ瞳を閉じた。
……お前の息子は立派になった……。
そう心の中で呟くと、その『息子』が幼かったあの頃へと想いを馳せた……。
「お前、自分が何を言っているのかわかってるのか?」
男は、目の前にいる相手に向かって、責めるような口調でそう言った。
「……ああ、それが…宿命だからな」
そう答えた彼は淋しげな笑みを男に向けた。
「何が宿命だよ!?このご時世に…影武者だと?この世を護る…って、そんなのお前がすることじゃないだろ!?お前が護らなきゃならないのは、亡くなった彼女との間に生まれた息子であって、この世なんてもんじゃないだろ!!」
彼の笑みに苛立ちを覚えた男は、彼の胸倉を掴むと、自身の顔を近づけ、そう怒鳴った。
「……丈瑠」
彼は視線を男から外し、遠く先の方で無邪気に波と戯れている幼い子に目をやった。
「そうだ。丈瑠を護るのが親のお前の勤めだろうが!!だいたい、影武者なんてのは、誰かの楯になるってことだろ!?……死んでしまう事も…あるんだろ?そうなったら、丈瑠はどうなるんだよ!?身内はお前だけだろうが……」
胸倉を掴んでいた手を離すと、男もまた、彼の視線の先へと目をやった。
「俺は死なない。世を護るために、殿を護る……それだけだ。死にに行くわけじゃない。だが、もしも……本当にもしものことがあったならば、いつか、お前から話して欲しい。俺が丈瑠を愛していたということを。そして、辛い思いをすることがあるかもしれない。その時は、朔太郎…お前があいつを見守ってやって欲しい。…勝手なことばかり言ってごめんな……」
そう言った彼の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
朔太郎と呼ばれた男は、そんな彼の姿にそれ以上の言葉を繋ぐことは出来なかった。
「お前、嘘つきだよな。……なにが、俺は死なない…だよ。……ったく、もうあの時に覚悟してたんだよな、お前は。ただの親友だった俺に大層な秘密を話してくれちゃって……俺は、ただお前のすることをサポートすることしか出来なくて。でも…………本当は、お前を助けたかったよ。志葉とか、この世とかそんなの関係なく…お前と丈瑠をな」
朔太郎は、閉じていた瞳を開くと、墓石に向かって再び語りかけた。
「……すまない、お前との約束、一度破ったんだ。お前がこの世からいなくなったのが、どうしても許せなくてな。丈瑠を見守って欲しいとお前は言ったのに、俺は志葉家から一度去った。……だが、若き侍の一言が、目を覚まさせてくれたよ。お前の大切な息子は、仲間という素晴らしい宝と、心許せる伴侶を手に入れた…自分の力でな。俺はこれからも、お前の息子を見守っていくつもりだ。お前も見ててくれよな……」
朔太郎は頬を微かに緩めると、すぐにまた元の表情に戻り左手に目をやった。
「じゃあな、仕事に戻らないとだ。また休みの時にでも来てやるよ。黒子の仕事はほとんど休みがないから……当分先になるだろうけどな。……デートする相手もいないしな……ったく、お前のせいだからな、俺が独身なのは」
そして、じゃあな……と言って、軽く墓石に拳を打ち付けると、朔太郎は来た道を戻って行った。
そんな彼の後姿を、風に揺らされた百合の花がそっと見送っていたのだった。
~ 終 ~
☆少々付けたしをさせて頂きますね。・・・過去の場面、これは殿父が影武者となることを決めた時でして、まだ志葉家には参っておりません。さらには、朔太郎さんは、殿父が志葉家に影として入ることとなったため、黒子として志葉家に入った(彦馬さんに懇願した)形となっています。・・・おわかりになりましたでしょうか?大丈夫ですか?イメージ崩れちゃったりしたら、嫌だな~と思いながらも、自分なりの解釈を描かせていただきました☆
☆sin様、本年も沢山、コメントありがとうございました。そして、今年最後にお会い出来て、本当に嬉しかったです。来年も、こんな私ですが、よろしくお願いいたします。・・・私も『殿』なんだと思います。もちろん、桃李くんは大好きですし、応援していきますが、やっぱり『殿』なんですよね。来年も妄想していきます!!☆
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